研究課題/領域番号 |
11650829
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大谷 肇 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50176921)
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研究分担者 |
石田 康行 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70273266)
青井 啓悟 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (30222467)
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キーワード | 生分解性高分子 / 分析的熱分解法 / 熱分解ガスクロマトグラフィー / ポリマーブレンド / 酵素分解 / 顕微赤外分光法 / 水酸化テトラメチルアンモニウム / 土中埋没試験 |
研究概要 |
本年度はまず、実用化されている代表的な生分解性プラスチックであるビオノーレ(ポリブチレンサクシネート/アジペート)について、それらの生分解過程における化学構造変化を熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)の手法を用いて解明することを試みた。ここでは、ビオノーレのフィルム試料を実際に10〜60日土中に埋没させて生分解試験を行ったのち、土中に残留したフィルムを回収して化学構造の変化を解析した。その結果、試料を500℃前後で瞬間熱分解して、生成物をガスクロマトグラフ分析して得られたパイログラム上に、微量成分として観測されるプロピオン酸エステル類の相対的な生成量が、生分解の進行に伴って明らかに減少することが見出された。したがって、これらの特異的な熱分解生成物の生成量を追跡することにより、生分解の進行度を評価することが可能となった。さらに、回収したフィルムの局所毎のパイログラムを観測して比較したところ、生分解の進行の程度が著しい、欠落部分の周辺ほど上記の特性的な生成物の生成量が大きくなっており、局所的な生分解度の評価をもなし得ることがわかった。 次に、代表的な生分解性高分子同士のポリ乳酸(PLA)-ポリカプロラクトン(PCL)ブレンド試料を一定期間酵素分解させた後、回収した試料を水酸化テトラメチルアンモニウム共存下での反応熱分解GC測定により組成分析した結果、酵素の分解特性から予想されるように、酵素分解の進行に伴いPCL部分がより早く分解していることがわかった。しかしながら、ブレンド中でのPCLの分解率は、純粋なPCLの酵素分解挙動から予測される分解率よりはかなり低く、その一方で、PLAの分解率が純粋なPLAよりもブレンド中ではかなり高くなっていることから、ブレンド試料の相溶状態を反映した酵素分解過程の進行が示唆された。
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