遺伝子ターゲッティングツールとしてのDNA-フェロセン複合体の研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650831
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 中野 幸二 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10180324)
• キーワード: 遺伝子センサ / DNAセンサ / 修飾電極 / 酸化還元 / ラベル化 / 光架橋反応 / ソラレン化合物

研究概要

放射性同位体(^<32>P)を用いたオートラジオグラフィーに代わる、安全かつ簡便な遺伝子計測システムの実現が望まれている。電気化学をベースにした手法は、これらの用件を満たしているとともに、一般の物理化学測定の中でも高い感度を有している。この意味で最も可能性が高い系であり、本研究では、酸化還元活性な低分子によるラベル化をベースにした遺伝子センサについて検討した。
今回、核酸塩基と光架橋反応を行うソラレン化合物に着目し、フェロセニル基を導入した二官能性分子(フェロセニルソラレン)を新たに合成した。まず化合物の酸化還元反応について検討し、期待される反応特性を有することを確認した。さらに二重鎖DNAに対する結合性についても、単純なソラレン化合物と同様に、核酸塩基に対して光架橋反応を行うことがゲル電気泳動から確認された。
以上の結果をもとに、修飾電極系での酸化還元ラベル化反応について検討した。まず、末端チオール化DNAを利用して二重鎖DNA修飾電極を調整した。この電極を、フェロセニルソラレンで処理し、修飾電極の電気化学特性について検討した。その結果、ソラレン由来の酸化還元波が観測され、本ラベル化法が修飾電極系でも適用可能なことがわかった。さらに、電極表面でのハイブリダイゼーションと組み合わせた場合にも所定の機能を発揮し、遺伝子センサへの応用が可能と考えられた。

研究成果

• [文献書誌] T. Ihara et al.: "Electrochemical Gene Sensor"American Chemical Society, Symposium Series .. (in press).
• [文献書誌] M. Tazaki et al.: "Synthesis of extra pure 11-amino-1-undecanethiol hydrochloride"Sulfur Letters. (in press).
• [文献書誌] K. Nakano et al.: "Calix[n]arenes Provided with Thiols for Modified Electrode Applications: Ring-Size Dependent Voltammetric Behavior Toward Ferrocene Derivatives"Chemistry Letters. 60-61 (2000)
• [文献書誌] K. Nakano et al.: "Self-Assembled Monolayer Formation from Decaneselenol on Polycrystalline Gold as Characterized by Electrochemical Measurements,QCM, XPS and IR Spectroscopy"Langmuir. (in press).
• [文献書誌] M. Nakayama et al.: "Diagnostic Applications of Electrochemical DNA Biosensor"Chemical Journal of Chinese University. 20. 133 (1999)
• [文献書誌] k. Nakano et al.: "Direct Electrochemistry of Cytochrome c Covalently Immobilized on ω-Carboxyalkanethiol Monolayer Electrode and its Biosensor Applications"Chemical journal of Chinese University. 20. 134 (1999)