導電性高分子の電池材料としての応用を研究対象として、特異なドーピング機能を有する高分子を用いることにより電池機能を向上させることを試みた。二次電池と燃料電池の二種類の電池について検討し、二次電池については以下の正極、負極の二項目について検討した。 1.n型ドーピング機能を有するポリアニリンの電解合成と機能(負極材料) 2.自己ドープ機能を有するポリアニリン複合体の作製と機能評価(正極材料) 前年度の報告書では二次電池に関する結果について報告した事及び紙巾の都合上、本報告では燃料電池に関連する結果について概要を述べる。 3.貴金属/ポリアニリン複合電極のメタノール酸化触媒としての機能 現在の電気自動車用の燃料電池は水素を燃料としているが、メタノール等の液体を改質することなく直接燃料として用いる事が望ましく、高活性のアノード酸化触媒の開発が必要である。通常白金等の貴金属触媒が用いられるが、本研究では、導電性高分子-貴金属複合によるメタノール燃料電池の高機能化の可能性について検討した。 ボルタンメトリーによる予備的検討では、ポリアニリン-白金複合触媒の使用によりメタノール酸化電流が2〜3倍程度増加し、複合触媒の効果が認められた。次いで定電位法を用いて高活性な複合電極を得るための作製条件について詳細に検討した。炭素電極上にポリアニリンを電析させる条件として、各種のプロトン酸についてその効果を検討した結果、硫酸が最も優れていた。これに対して電析電流密度を変化させても、メタノール酸化活性はほとんど変化しなかった。このようにポリアニリン複合電極の有用性は明らかとなったが、今後より活性な電極を得るための条件を検討する必要がある。
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