研究概要 |
リチウム塩あるいはマグネシウム塩と非イオン性のセラミックスフィラーを分散させたポリマー複合体を合成し,その電解質挙動を調査した。複合体の組成とイオン構造,電気化学過程の相関を解析し,デバイス材料としての適性を明らかにした。 1.非イオン性セラミックスフィラーを含むポリマー電解質複合体の導電機構の解析 網状骨格構造と極性官能基を側鎖および架橋鎖にもつポリマーマトリックスに,リチウム塩またはマグネシウム塩と非イオン性の無機フィラー(複合酸化物)を溶解または分散したポリマー電解質複合体を合成した。複合体のミクロ構造化学をXRD,熱分析により行った。広い温度範囲にわたってイオン伝導度を測定し,Li^+あるいはMg^<2+>のみのそれと比較検討することにより無機フィラー添加の効果を検討した。その結果,無機セラミックスフィラーの添加によるイオン伝導度向上は,LiClO_4が共存する系で顕著に現れることがわかった。 2.ポリマー電解質複合体の電気化学特性に及ぼすセラミックスフィラー添加効果の解明 前項で検討した結果をもとに,ミクロ構造構築のための複合体組成の最適化を行った。最適化された組成の複合体について,分散した非イオン性セラミックスフィラーの反応性と電荷輸送特性を検討した。リチウム金属と複合体膜の交流インピーダンス測定の結果,無機セラミックスフィラーを分散させた複合体膜では界面抵抗が減少し,セラミックスフィラーの添加による局所構造の発現がLi^+の移動に好都合の環境を与えると考えられた。この結果から,複合体膜中のLi^+輸送機構を提案した。
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