ナノサイズ酸化チタンの作成法については、すでに提案しているゾル・ゲル法を活用している。カソードバイアス下での電着は、確かに触媒活性に優れた膜の作成に有効であることが判明した。コスト面を考え、金属箔への電着を模索した。その手始めにチタン金属箔を使って、作成した電着膜を、焼成温度をパラメーターとして、その触媒活性を調べた。これまでは、ITO膜であったので、600℃以上の焼成は不可能であったが、チタン箔は1000℃以上まで可能になった。その結果、600℃での焼成によって、アナターゼ構造とルチル構造が共存する膜で、触媒活性が最大となることが判明した。近く、投稿予定である。 これと平行して、粉末触媒の高活性化を試み、Fe_2O_3とTiO_2混晶系ですぐれた触媒活性が得られた。酸化チタンはそのバンドギャップが大きくて太陽光の紫外部しか利用できないが、バンドギャップの小さな酸化鉄を利用することで、可視光領域の利用も可能にしたものである。その成果を公刊した。 更に、酸化チタン粉末は吸着性が悪いという欠点を持つが、それを改良するために、活性炭やカーボンとの複合触媒を開発した。これによって、汚染物質の吸着はカーボンに、分解は酸化チタンに分担させることに成功した。その成果は、近く投稿予定である。
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