1.金電極表面上のビオロゲンチオール単分子層の動的挙動とその制御 ビオロゲンの動的酸化還元挙動は、対アニオンに強く影響を受け、そのメカニズムが、ビオロゲンおよびそのラジカルカチオンとアニオンとのバインディングを考慮したモデルで熱力学的に説明できることがわかった。また一方で、ラジカルカチオンの配向やダイマー化状態は、アニオンバインディングの影響をほとんど受けないことがわかった。 2.ヘペリシンの動的酸化還元挙動の脂質膜への取り込みによる制御 水溶性のないヘペリシンの酸化還元活性を、カチオン性脂質膜へ取り込ませることにより、水中で発現させることができ、かつ脂質分子構造で酸化還元電位を制御できることがわかった。 3.オクタデシルローダミンB(C_<18>RhB)のHOPG電極上での動的挙動と界面活性剤分子の共存効果 C_<18>RhBは、酸化還元だけでなく、表面電荷・電場の変化によって吸脱着などの非ファラデー過程によりエレクトロリフレクタンス応答を与えることがわかった。界面活性剤分子の共存により、酸化還元がより可逆的になる一方で、非ファラデー過程が抑制されることがわかった。 4.長鎖ビオロゲン単分子吸着層の動的挙動-酸化還元による膜構造の動的制御 長鎖ビオロゲン単分子吸着層は、酸化還元反応にカップルして相転移的挙動を示すことによりスパイク状応答を与える。その出現条件を精密に究明することに成功した。次年度、さらに詳細な検討を計画している。
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