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2000 年度 実績報告書

レーザアブレーションが引き起こす生体系組織コラーゲン膜の光-熱変換機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11650850
研究機関東京理科大学

研究代表者

石井 忠浩  東京理科大学, 理学部, 教授 (00084319)

研究分担者 角田 勝則  東京理科大学, 理学部, 助手 (80307694)
矢島 博文  東京理科大学, 理学部, 助教授 (10147506)
キーワードコラーゲン / アブレーション / 時間分解測定 / エキシマレーザー / 照射雰囲気 / 熱変性 / 配向 / 表面微細構造
研究概要

本研究では生体高分子のエキシマーレーザーアブレーション機構を解明する目的で、代表的な生体高分子であるコラーゲンに着目し、実際に臨床の場で使用されるArFレーザーを用いてアブレーションを行った。特に、生体組織における水の存在とコラーゲンの高次構造に焦点を当て、これらがアブレーション機構に与える影響を考察した。
AFMによる表面観察、ATR-FTIRによる表面分析およびナノ秒時間分解測定の結果から、系内に存在する水がアブレーション機構に与える影響について次のような知見を得た。系内に存在する水はアブレーション時に発生する熱を気化熱として吸収し、分解生成物と共に飛散することによって照射面の熱損傷を軽減する。また、アブレーション時の水の気化による急激な体積膨張に起因する機械的な分解過程により乾燥時よりも低フルエンスにおけるアブレーションが可能である。
種々の分子配列状態(高次構造)を有するコラーゲンフィルムを対象とした実験から、コラーゲンの高次構造はアブレーションによるエッチング過程には影響を与えないが、アブレーション後の表面形状を変化させることが分かった。乾燥状態でアブレーションを行うと照射面に微細構造体が形成した。この微細構造体はコラーゲンの分子配列状態を反映していることが示された。
水-高次構造複合系を対象としたアブレーション結果から、角膜のアブレーション機構を考察し、コラーゲン主体の生体組織について最適なアブレーション条件を提示することができた。
さらに、新規表面改質法として応用し、コラーゲン表面の生体適合性の操作を試みた。その結果、ヒト由来線維芽細胞の接着性および増殖性は微細構造体の大きさと相関があり、微細構造体の増加とともに接着性および増殖性が減少することが分かった。この方法はアブレーションによって任意にかつ選択的に生体適合性を操作することを可能とする方法として有用であると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Masaru Sugiura,Katsunori Tsunoda,Hirofumi Yajima,Tadahiro Ishii,Hiroshi Itoh,and Yutaka Nagai: "Submicroscopic Morphological Changes of Laser Induced Surface Structure of Collagen, Tendon, and Gelatin Films"Chemistry Letters. 1288-1289 (2000)

  • [文献書誌] Masaru Sugiura,Katsunori Tsunoda,Hirofumi Yajima,Tadahiro Ishii,Hiroshi Itoh,and Yutaka Nagai: "Submicroscopic Morphology of the Laser Induced Surface Structure of Partially Renatured Gelatin Films"Chemistry Letters. (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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