まず、2本鎖DNAの導電性を高める試みとしてインターカレーターFe(phen)_3を用いFc-GODにより、信号増幅をしたDNA検出系を構築し、プローブDNA固定化電極を用いてターゲットDNAにたいする応答を検討した。その結果、+0.5Vにおける電流値を測定することで相補的なターゲットDNAに選択的な応答を得ることができ、検出限界は約10^<-11>g/mlと見積もられた。しかし、その応答機構の詳細についてはさらに検討する必要がある。この系では、Fe(phen)_3の酸化電位が+0.9Vと高く、この電位でのDNAの検出ができなかったので、インターカレーターについて検討し、Co(phen)_3を選んだ。 コバルトフェナントロリン錯体とプローブDNA固定化金電極を用いて、プローブDNAと相補的なターゲットDNAを10^<-7>Mから10^<-5>Mの濃度範囲で配列特異的に検出できることが示された。 Co(phen)_3^<2+>とFc-GODの組み合わせでは、Fc-GODがDNA測定時にCo(phen)_3^<2+>を介さずに直接、電極と電子授受してしまうものもあることから、2本鎖形成によるCo(phen)_3^<2+>の電流変化よりも大きな電流が流れてしまい、ターゲットDNA濃度に依存した酸化ピーク電流が得られなかった。また、Co(phen)_3^<2+>とFDHの組み合わせでは、FDHの電極への吸着変性のためか、DNA配列特異的な結果は得られなかった。
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