基底状態および光励起状態のぺり環状反応の設計および制御に関する理論的研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650852
• 研究機関: 大阪産業大学
• 研究代表者: 酒井 章吾 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40221262)
• 研究分担者: 高根 慎也 大阪産業大学, 工学部, 講師 (20243199)
• キーワード: ぺり環状反応 / ab initio MO / Diels-Alder反応 / CiLC-IRC / Conical Intersection / 視覚化プログラム / ヘキサトリエン / ブタジェン

研究概要

本研究においては次の3つのプロジェクトについて研究を行った。
(1)ブタジェン、およびヘキサトリエンの光励起状態における反応経路。
ブタジェンのおよびヘキサトリエンの光励起からconical intersectionを経由して起こる反応に対し、フランクコンドン状態からconical intersectionに至る経路のおけるDynamical Momentumがconical intersectionの後、基底状態の反応サーフェースにおいて重要な役割を果たすことを指摘した。ブタジェンの場合、このDynamical Momentumの方向に遷移状態が存在し、光励起におけるシクロブテンとビしくとブタンの生成に関する選択性を説明づけた。
(2)Diels-Alder反応機構。
Diels-Alder反応としてブタジェンとエチレンの反応を取り扱った。これらの反応のconcertedとstepwiseの反応ポテンシャル面の計算を行い、この反応経路において、我々が提案したCiLC-IRCにおいて解析を行った。CiLC-IRCの解析から、concertedの反応における遷移状態は芳香族性を示すことを明らかにした。また、stepwiseの反応においては二段で反応が起こることを明らかにした。すなわち、最初は一方の結合が起こるステップで、二段目はその結合を軸とする回転による立体障害的なエネルギー障壁である。
(3)電子配置表現に対する視覚化プログラムの開発。
反応の解析結果を分かりやすくするための視覚化表現プログラムシステムの作成を行った。

研究成果

• [文献書誌] S.Sakai,et.al.: "Another Look at the Mechanism of the Concerted 1,3-Dipolar Cycloaddition of Fulminic Acid to Acetylene"J.Org.Chem.. 64・1. 65-69 (1999)
• [文献書誌] S.Takane and S.Sakai: "Molecular and Electronic Structure of Trithiapentalene"J.Mol.Struc.(THEOCHEM). 488・1. 1-10 (1999)
• [文献書誌] S.Sakai: "Theoretical Studies on the Electrocyclic Reaction Mechanisms for s-Cis Butadiene and Disilylbutadiene"J.Mol.Struc.(THEOCHEM). 461-462. 283-295 (1999)
• [文献書誌] S.Sakai and S.Takane: "Theoretical Studies on the Electrocyclic Reaction Mechanisms of Hexatriene to Cyclohexadiene"J.Phys.Chem.A. 103. 2878-2882 (1999)
• [文献書誌] S.Sakai: "Theoretical Analysis of Concerted and Stepwise Mechanisms of Diels-Alder Reaction Between Butadiene and Ethylene"J.Phys.Chem.A. (印刷中).
• [文献書誌] S.Sakai: "Theoretical Study on the photochemical reactions of butadiene. Cyclobutene and bicyclobutane"Chem.Phys.Lett.. (印刷中).
• [文献書誌] S.Sakai: "Trends in Physical Chemistry"The abinitio LMO centroids analysis for chemical reaction mechanisms (印刷中).