研究概要 |
本研究においては次の3つのプロジェクトについて研究を行った。 (1)Cope転位反応機構。 Cope転位反応として1,5-ヘキサジエンの反応機構をCiLC-IRC解析を用いて調べた。反応径路としては共奏的に起るイス型とボート型の遷移状態を経るもの。また、バイラジカル中間体を経る径路について取り扱った。イス型の遷移状態は芳香族性があることを指摘し、ボート型についてはジアリル型であることを指摘した。これらの反応に対し、置換基効果を調べるためベンジル基がついた反応機構をも調べた。この結果、1位と2位の位置による反応径路の違いが明らかになった。1位の置換により芳香族型遷移状態を経る反応になり、2位の置換に対してはバイラジカル型になることが明らかになった。 (2)o-Xylyleneのベンゾシクロブテンへの環化反応。 o-Xylyleneの環化反応に関し共奏型反応径路と逆旋型反応径路について調べた。これらの反応径路の遷移状態のエネルギー差がブタジェンの環化反応に比べ半分以下であった。この理由についてCiLC-IRC解析を行った。その結果、逆旋型の反応径路ではその遷移状態のベンジル部分が芳香族性を示す。一方、共旋的反応径路ではその遷移状態のベンジル部分は結合交替を示した。 (3)電子配置表現に対する視覚化プログラムの開発。 反応の解析結果を分かりやすくするための視覚化表現プログラムシステムの作成を行った。
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