研究概要 |
1.ウイスカーの合成と積層欠陥の生成メカニズム 炭素還元法によるSiCの合成のメイン反応には積層欠陥が多く内在するウイスカーが生成する固相(炭素)と気相(SiOガス)の反応と<経路1>、積層欠陥が少ない球状粒子が生成する固相(炭素)と固相(シリコン)反応<経路2>が存在する。 <経路1> SiO(g)+2C(s)→SiC(s,1)+CO(g) ---(1) <経路2> 2SiO(g)→Si(s,1)+SiO_2(s) ---(2) Si(s,1)+C(s)→SiC(s) ---(3) 二つの生成経路は平行反応として反応系の温度よりもSiOガス分圧に深く依存した。ウイスカーに生成する積層欠陥の密度は反応温度までの昇温速度を落としSiOガスの発生(分圧)を反応系全体に均一に渡るようにすることで抑制された。 2.ウイスカー成長方向と積層欠陥の挿入方向 合成された大部分のβ-SiCウイスカーは、β-SiCの最密充填面である{111}面の表面エネルギーが{111}以外の面より低いため、[111]方向で成長し、積層欠陥もウイスカー成長方向に垂直な方向に導入されている。また、ウイスカーが分岐した所の大部分は積層欠陥が投入されているため、ウイスカーの成長または分岐と積層欠陥は密接な関係がある。 積層欠陥の導入方向とウイスカーの成長様式が違う三つの異なるタイプ(A、B,C)のβ-SiCウイスカーが観察された。タイプAは比較的に平らな表面と成長方向に対して90°の積層欠陥の導入方向を持つ反面、タイプBは粗い表面と35°の導入方向を示した。また、タイプCは鋸切りの歯のように凸凹が激しい表面と異なる三つの{111}面の積層欠陥を持つことが分かった。
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