高温触媒用の安定なコート膜の形成技術について、アルミナを中心に各種金属酸化物を複合したスラリーの特性とその制御及び得られる触媒の活性について研究した。ガンマアルミナー水系のスラリーの粘性を調整しコート操作に適当な条件を調べた。この系では、分散剤を用いずにアルミナのスラリーの分散とその安定領域を系統的に調べ、比較的低濃度のアルミナにおいても均一な混合状態と適度な粘性をもつスラリーが得られ膜作製の作業性にすぐれることがわかった。また、これらの作製プロセスにおける粘性とコート厚み等のパラメーターを最適化した。膜の乾燥後と焼成後の基板との一体性についても検討した。とくに、高温における膜の安定性について研究し、ランタンで安定化したアルミナを用いて1200℃でも安定なコート膜を作製した。これらの作製技術の応用として、マンガン、ニッケル、クロム等を添加したアルミナ触媒について、熱安定化のため添加したランタン添加の効果について調べた。さらに定常リーンバーンの燃焼条件に適応した排ガス浄化触媒としてのNOx除去性能について比較した。固相反応のため、触媒活性は高温試験によって低下したが、リーンバーンNOx除去活性は、高温条件の耐熱性試験として1000℃で熱処理した後の試料において、10〜22%(300〜400℃)の浄化率を維持した。すなわち、この温度では分解して活性を失うゼオライト系触媒に比べて、高温での活性維持が可能であることがわかった。以上の研究によって、金属酸化物スラリー制御による膜形成技術とその耐熱触媒への応用に関する新規な技術開発につながる学術的知見が得られた。
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