四塩化炭素-アンモニアの反応系で、ダイヤモンド以上の高硬度を有すると予測される窒化炭素の合成を検討し、物性の把握を行い、以下のような新しい知見を得た。 四塩化炭素とアンモニアの気相反応(反応温度:1000℃、管状炉)によって得られた生成物について、水処理および熱処理温度によって構造および硬度や発光特性がどのように変化するかを系統的に調べた。目的とする硬度に関しては、水処理だけで熱処理をしない生成物が最もよく水晶(モース硬さ:7)に傷をつけることがわかった。また、今年度は本研究費で設計・購入した加熱ステージを用いて赤外分光(FTIR)測定を行った。このFTIR測定、X線回折および光電子分光法(XPS)の結果から、熱処理温度を高くするほど三次元的な結晶構造から二次元層状構造へ変化することがわかった。このことは、硬度評価の結果をよく説明する。400℃で熱処理した生成物はクリーム色を示し、元素分析の結果、組成はC_3N_<5.1>O_<0.4>H_<4.0>であった。また、紫外線励起による発光特性評価でも、熱処理温度の低い方が強い発光を示すことが判明した。一方、同じ系で、高周波誘導加熱により基板を常時1000℃に加熱できる装置を用いて薄膜作製を試みた。石英基板上には黒色薄膜が得られたが、その組成はC_<8.9>NH_<1.6>となり、結晶構造も層状であり、この膜は硬度としては期待できないが、高導電性が期待できる。 今後は、管状炉を用いた気相法で得られた生成物の中から高硬度を示す物質を精製する方法を検討する。
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