四塩化炭素-アンモニア系、および窒化リチウム-四塩化炭素系で窒化炭素の合成検討および物性把握を行い、以下のような新しい知見を得た。 まず、昨年に引き続き四塩化炭素-アンモニア系で反応温度1000℃の気相反応によって窒化炭素の合成を試みた。生成物の中で、煮沸水で処理することにより得られた高硬度な材料についてESCA測定をした結果、C1sスペクトルに明確な2本のピークを観察した。400℃で熱処理することによって硬度が低下し、上記の2本のピークのうち高エネルギー側のピークの相対強度が低下したことから、高エネルギー側のピークがsp3構造由来のピークであり、高硬度と関係していることを見出した。この材料は、モース硬さが7である水晶に傷をつけることを原子間力顕微鏡観察によるスクラッチテストで確認した。以上の反応生成物および熱処理生成物について、元素分析、X線回折、FTIR、およびESCAにより結晶構造や化学結合状態の変化を観察し、この系については反応機構がほぼ解明できるまでになった。 次に、新しい試みとして窒化リチウム-四塩化炭素系溶液法で合成を試み、反応が進行することを確認した。ただし収率が悪いため、現在反応最適条件を検討中である。上記四塩化炭素-アンモニア系での反応機構を参考にして研究の進捗を図りたい。 これまで4年間の研究補助を受け、四塩化炭素-アンモニアの反応系で反応機構を解明することにより、モース硬さが7以上で、紫外線励起で発光する炭素/窒素材料を合成することが可能となった。
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