研究概要 |
次世代の表示素子として単色で実用化のはじまった有機ELは、多色化に向けて用いる材料の耐熱性が求められている。このため本研究は、特異な三次元構造をもつ芳香族炭化水素に着目し、これらをトリフェニルアミンの新たな誘導体とする合成を行い、有機ELデバイス評価を含めた諸性質を明らかにした。 平成11年度の主な成果は次の通りである。 1.特異構造としてスピロビフルオレン構造をもつトリフェニルアミン誘導体をいくつか合成できた。これらの新規物質を熱的および電気化学的な性質を明らにした。この結果、これらはいずれも100℃以上で使用可能で、標準品と比べて耐熱性は改善できた。共同研究(豊田中央研究所)で得たEL特性も、同等にすぐれるものであったので実用性は高められた。 2.また、6員環スピロケトンの系についても、一郡のものを合成できた。これらの中には有機ELのホール移動材としてすぐれるのみならず、150℃に達する耐熱性材料を見い出した。 3.一方、上記の三次元構造でない平面構造の系も比較のため行った。この中で耐熱性はもとよりEL特性が格段に高い物質を発見し、現在展開中である。 以上の成果のうち、1,2に関する一部成果を、耐熱性にすぐれた有機EL材料として速報の形で論文発表した。
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