研究概要 |
1.均一系遷移金属錯体による複素芳香環化合物の水素化 インドールの水素化に対しRh(acac)(cod)と2当量のトリフェニルホスフィンから系中で調製される錯体が高い触媒活性示し、1/1000当量の触媒、20時間で92%のインドリンを与えることがわかった。また、本ロジウム錯体はインドールだけでなくピロール、フラン等の5員環複素芳香環化合物の水素化にも高い触媒活性を示した。 2.2-置換インドールの触媒的不斉水素化 [Rh(nbd)_2]SbF_6と遷移金属にトランスキレート型不斉配位子(S,S)-(R,R)-PhTRAPから系中で調製される錯体を触媒として、炭酸セシウム存在下、N-アセチル-2-ブチルインドールの不斉水素化を試みたところ、2位に不斉点を持つ光学活性インドリンが94%eeで得られた。これは五員環複素芳香族化合物の高エナンチオ選択的水素化の初めての例である。また、本不斉触媒は他の置換基を2位に持つ様々なインドールの触媒的不斉水素化にも高いエナンチオ選択性を示し、最高95%eeの光学活性インドリンを与えた。 2.3-置換インドールの触媒的不斉水素化 上記で開発された不斉触媒を用いて、N-アセチル-3-メチルインドールの触媒的不斉水素化を試みた。この場合、高い光学純度の光学活性インドリンが得られたものの、基質のアセチル基の加溶媒分解による生成物がかなり生成した。そこで、インドールの窒素原子上の保護基について種々検討したところ、スルホニル基を持つ基質を用いることにより加溶媒分解を起こすことなく反応を完結させることができ、98%eeの3位に不斉中心を持つ光学活性インドリンが得られた。
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