研究概要 |
本研究では、始めにポリ(スチレン-b-2-ビニルピリジン)ブロック共重合体1種類、及び、ポリ(スチレン-b-4-ビニルピリジン)ブロック共重合体5種類(TI:PS84%,Mn=1.69X10^5,T2:PS76.5%,3.99X10^5,T3:PS70.6%,Mn=5.38X10^4,T4:PS84.4%,Mn=2.01X10^4,T5:PS65.6%,7.16X10^3)を合成し、GPC(新規購入パーツ:デュアルポンプ、示差屈折計、カラムオーブン)を用い、その特性を求めた。これらのポリマーとポリエチレンオキシド(PEO)を混合し、ポリスチレンマトリックス中でポリピリジンーPEOが棒を形成し、その棒の中でポリピリジンとPEOがラメラを形成するというミクロ相分離構造の発現を試みた。その際、溶媒としてトルエン、クロロホルム、テトラヒドロフランを用い、また、アニーリングの有無を因子として発現される相分離構造を検討した。分子量15000のPEOを用いたが、マクロ相分離を発現した。そのため、より分子量の小さな化合物として3N-ペンタデシルフェノール(3NPDP)を用いた。各膜の超薄切片の透過型電子顕微鏡観察の結果、T1,T4に関し、3NPDP混合比14%、トルエンでキャストしアニーリングを加えなかった膜において、意図したミクロ相分離構造を得る事ができた。更に、これらの相分離構造中のポリピリジン部分を、1,4-ジヨードブタンガスを用い、橋かけを行った。その結果、分子量の低いT4では、棒状ミクロドメイン中、ポリピリジンドメインは3NPDPドメインでディスク状に隔てられていたにも関わらず、ディスク状ドメイン間の橋かけが起こり、その結果、内部に3NPDP球形ドメインを持つ棒状のミクロゲルが得られた。分子量の高いT1では、ディスク状のミクロゲルが得られたが、その収率は約30%であり、副生成物として棒状のミクロゲルが生成した。これは、3NPDPの分子量の低さが原因と考えられ、3NPDPに代わり末端にフェノール基を持つ分子量1万以下のPEOを合成した。
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