1)主鎖のみに不斉を持つ高分子の合成 主鎖不斉構造そのものの効果の程度を明らかにするため、側鎖に不斉を持たない主鎖のみに不斉を持つ高分子の合成方法を検討した。第一の方法として水酸基含有フェニルアセチレンをキラルアミンを共触媒として重合したところ、主鎖のみに安定な不斉をもつ高分子を得ることに成功した。第二の方法として主鎖不斉高分子を合成後、側鎖の光学活性基を除去し、主鎖不斉のみの高分子を得ようとしたが、側鎖光学活性基除去後、主鎖不斉は保持されなかった。第三の方法として主鎖に光学純度100%の軸不斉構造を組み込んだ高分子を合成した。 上記の3つのうち、第一の方法で行って得た高分子のみが製膜性を有していた。 2)主鎖不斉構造の光学分割への効果の検出 得られた主鎖のみに安定な不斉をもつ高分子よりなる膜の光学異性体選択透過実験を行った結果、光学分割能が認められ、主鎖の不斉構造の光学分割への効果が確かめられた。 また、異なるCD強度を持つ高分子よりの膜を用いて光学異性体選択透過実験を行い、CD強度と選択性との関係を検討した。
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