環状高分子の前駆体に相当するヘテロ2官能性ポリスチレンの合成を行った。すなわち、官能性開始剤及び官能性停止剤を用いたスチレンのリビングアニオン重合によって、アミノ基とカルボキシル基を有するヘテロ2官能性ポリスチレンを合成した。さらに、その末端アミノ基をベンジルオキシカルボニルクロリドと反応させることによって、カルバメート基で保護を行った。 このヘテロ2官能性ポリスチレンをニトロフェニルエステル結合をリンカーとしてシリカゲル上へ固定化するために、まず、シリカゲル上にニトロフェノール部位を導入した。このフェノール性水酸基と2官能性ポリスチレンの末端カルボキシル基との縮合反応を行い、ポリスチレンをシリカゲルに固定した。しかし、この縮合反応においてはシリカゲル上に点在するニトロフェノール部位と大きな排除体積を有するポリスチレンの末端カルボキシル基との反応が動力学的に不利なために固定化率は低かった。 次に、11-ウンデセニルアミンと4-ヒドロキシ-3-ニトロ安息香酸の縮合反応を行い、得られたアミド化合物とカルボキシル末端ポリスチレンとの縮合反応を行い、あらかじめ活性なニトロフェニルエステル部位をポリスチレンに結合した。さらに、塩化白金酸存在下にクロロジメチルシランの11-ウンデセニル部位へのヒドロシリル化反応を行い、続いて、シリカゲルへの固定化反応を行った。その結果、この方法では高効率でヘテロ2官能性ポリスチレンをシリカゲル上に固定化することができることが明らかとなった。
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