研究概要 |
本研究では,数ナノメーターのサイズを有し,それ自身が既にバンド構造による半導体的な特性を有している有機置換基で可溶化されたSiおよびGe系ナノクラスターを基本単位とした新規材料の分子設計・合成および光・電子物性の検討を行い,さらに,これら可溶性有機SiおよびGe系ナノクラスターのサイズの制御やSi/Ge系ヘテロナノクラスター構造形成によって,より次元の拡張された3次元超格子構造の形成・光電子物性制御の新手法を開拓することを目的とした。本年度は,(1)種々の組成を有する有機シリコンおよびゲルマニウム系ナノクラスターの合成,(2)合成した有機シリコンおよびゲルマニウム系ナノクラスターの構造のラマンスペクトルによる解析。(3)時間分解発光分光法による有機シリコンおよびゲルマニウム系ナノクラスターの励起状態のダイナミックスの検討。(4)有機シリコンおよびゲルマニウム系ナノタラスター薄膜の加熱処理による無機シリコンおよびゲルマニウム化と3次元ヘテロ接合の形成に関する検討を行った。ラマンスペクトルの測定においては,Si-Si,Si-Ge,およびGe-Ge結合に関わるバンドの観測から,有機シリコン・ゲルマニウム系ナノクラスターのヘテロ構造を明らかにすることができた。時間分解発光スペクトルからは,ヘテロ構造内でのエネルギー移動過程に関する知見を得ることができた。また。有機シリコン・ゲルマニウム系ナノクラスターを前駆体することによりSi,Geの結晶相とsi/Ge混晶からなる半導体薄膜を形成することができた。
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