研究概要 |
^<13>C NMRの化学シフトをコンホメーション分率から予測する方法の有効性を検討するために、本年度は3種のポリプロピレンオキシド2量体[H(へッド)-T(テイル),H-H,T-T]を合成し、NMRの測定を行い、CH、CH_2、CH_3基の各炭素原子の化学シフトを求めた。観測核から3つの結合を隔てた原子団による遮蔽効果、すなわち、γ-ゴーシュ効果の遮蔽パラメータを量子化学計算で求めた。 ポリ(メチルn-プロピル)シラン(PMPrS)、ポリ(ジブチル)シラン(PDBS)、ポリ(ジヘキシル)シラン(PDHS)を合成し、光散乱測定で、それぞれの状態のΘ回転半径、2乗末端間距離を求めた。その結果、PMPrS、PDBS、PDHSの特性比はそれぞれ19、42、45と求まり、これらポリシランは通常の炭化水素系のポリマーに比ベΘ状態で大きく広がっていることが分かった。 ネマチック液晶に溶解した鎖状分子について、これまでに報告されている^1H-^1H双極子モーメント、^2H NMR四極子分裂幅の実験値を解析するために、分子の大きさ・形状異方性を考慮しコンホメーションごとに配向秩序度を求め、最大エントロピー法を導入したシミュレーションで、コンホメーション分率、オーダーパラメータ、分子形状の統計平均値を求める方法を構築した。この解析法を用いて、液晶溶媒に溶解したn-アルカンや直鎖状エーテルのコンホメーション解析を行い良好な結果を得ることができた。
|