研究当初、脂肪酸単分子膜状でのポリシラン超薄膜の挙動の観測を想定して研究を開始したが、液晶分子単分子膜上にて完全に疎水的なポリシランが液晶分子上で理想的とも言える単分子膜を形成するという興味深い現象を見出したので、こちらに研究を傾注させた。 本研究で単独では単分子膜の形成が不可能な疎水性ポリシラン、ポリ(ジヘキシルシラン)[PDHS]とポリ(メチルオクチルシラン)[PMOS]が、液晶分子(5CB)との共展開によって理想的な単分子膜を形成することを明らかにした。π-A等温線、ブリュースター角顕微鏡(BAM)、原子間力顕微鏡(AFM)観測の結果から、5CB単分子膜上に、膜厚1〜2nmの均一なポリシランの単分子膜が形成されること示し、疎水性高分子であっても理想的な単分子膜の形成が可能であることがわかった。 また、疎水性の炭素系高分子であるポリチオフェンおよびポリスチレンについても、液晶分子との混合共展開を検討した。これら高分子の広がった単分子膜の形成を明らかにし、液晶混合展開法が広範な高分子に適用できる一般性を示した。
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