遺伝子キャリアーとしての応用が可能なポリアミドアミンをデンドリマー骨格とし、その末端を機能素子で修飾したデンドリマーは複合的な機能性を発現ことが期待できる。また、デンドリマーを組織化することによって新規な規能性もさらに期待できる。そこで、今年度は水酸基末端または糖鎖末端を持つ分子組織性の高い両親媒性デンドリマーを合成し、2相界面での集合性を検討した。 ポリアミドアミン多分岐鎖を骨格とし水酸基/nーヘキシル基末端を持つ3および4世代デンドリマーを合成し、原子間力顕微鏡による形態の観察、接触角測定による表面特性の評価、表面プラズモン共鳴センサーによる吸着量の定量、赤外吸収分光法による配向性の決定により、水溶液から固体基板へのデンドリマーの吸着挙動を評価したところ、この分子は疎水基の中心層からなる二分子膜を形成し、長時間の吸着または濃厚な溶液からの吸着によって二分子膜の積層が生じることが明らかになった。 糖鎖/nーヘキシル基末端をもつ両親媒性デンドリマーに対しても同様な実験を行ったところ、水酸基/nーヘキシル基末端デンドリマーとは明らかに異なり、2分子膜形成は確認できず、吸着量も遥かに少ない。吸着挙動に対する親水基の効果を明らかにするために、現在はオリゴペプチドを親水基とする両親媒性デンドリマーの合成を進めている。
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