研究課題/領域番号 |
11650931
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
浦川 宏 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (10183211)
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研究分担者 |
梶原 莞爾 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (10133133)
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キーワード | 高分子電解質 / アイオノマー / コンフォメーション / 小角X線散乱 / 分枝高分子 / 対イオン凝集 / 電荷密度 / 電解質多糖 |
研究概要 |
これまでの研究結果を受け、次のように研究を展開しかつ以下の結果を得た。 1.水溶性主鎖をもつアイオノマーの溶液構造:ポリビニルアルコールの部分硫酸化エステル化物(エメテル化度=5モノマーモル%)を合成し、無塩系における溶液構造を溶液粘度法及び小角X線散乱法で調べた。高分子電解質水溶液と同様に小角X線散乱曲線に極大が見られ、その極大位置は低濃度では濃度の1/3乗に、高濃度領域では1/2乗に比例した。これは溶液構造が等方構造であることを示唆し、平均5nm毎に1つの電荷という低電荷密度でも溶媒が水であれば十分に高分子電解質の性質を示すことが明らかになった。 2.側鎖に電荷をもつポリマクロモノマーの溶液構造:マクロモノマーの側鎖にカルボン酸のナトリウム塩及びエチルカルボキシ基を持つものをそれぞれ合成し、リビングアニオン重合でポリマクロモノマーとした。小角X線散乱法で溶液中の両者の分子鎖形態を比較すると、前者の分子鎖の断面がより大きく分子鎖の剛直性が変化することが見出された。これは側鎖内あるいは側鎖間の静電相互作用の結果であり、電荷導入がポリマクロモノマーの機能を制御する可能性を示唆した。 3.主鎖に電荷を持つ分岐高分子の溶液構造とDNAとの相互作用:ポリ-L-リジンを主鎖に、側鎖がデキストランである分岐高分子の構造とDNAとの相互作用を小角X線散乱法で観察した。水溶液中のDNAの近傍には対イオンが局在化する現象が通常観察されるが、この分岐高分子が共存すると対イオン凝集が見られなくなることを明らかにし、DNAの2重螺旋構造の安定化との関連を示唆した。 4.電解質多糖類の溶液構造:カラゲナン、ヘパリン及びカードランについて、繰り返し構造中の解離基の位置と数が溶液構造へどのような影響を与えるかを詳細に議論した。
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