非協力不具合衛星の捕獲法に関するシステム的実験研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650940
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 松永 三郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00222307)
• 研究分担者: 古谷 寛 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00190166)
• キーワード: 軌道上サービス / 不具合衛星 / 宇宙ロボット / 双腕マニピュレータ / 模擬システム / 群衛星

研究概要

不具合衛星の捕獲等の軌道上サービス実現のために、本年度研究では、昨年度試作した双腕マニピュレータシステムをH/W、S/Wともに改良して遠隔操作の安定化と高速化を図るとともにエンドエフェクタを整備して双腕を用いた操作を可能にした。次に、複数のフラットフロア上空気浮上衛星模擬システムを整備開発した。これは、不具合衛星の捕獲のみならず、複数衛星の隊列飛行を利用した干渉観測、通信、電力送信ミッションのための隊列制御や燃料消費管理に関する理論的研究の実験的検証や、本研究室で提案している群型ロボット衛星を実現するための地上実験を行うことを目的としたシステムであり、地上局を想定したPC、4機の空気浮上式模擬衛星装置、位置計測装置から構成され、それぞれは無線LANでデータのやりとりを行う。この実験システムを使用して、隊列飛行理論の検証、マニピュレータを用いた協調作業、ランデブードッキング等の地上実験を行い、考察を行った。また、群を形成する衛星間を、アクティブに張力/長さ制御の可能なテザーで結合されたシステムである群型テザード衛星システムを提案し、より高度・多様な軌道上ミッションを行うことを目指し、数値シミュレーションおよび2次元地上実験によって、本システムが軌道上で隊列変形飛行を行う場合の基礎的な運動解析を行い、その制御法を提案した。さらに、上記の動力学解析を行うためには、運動形態変化を考慮した多体システムのシミュレーションを行うために、衛星捕獲時の衝突問題を線形相補性問題に帰着させ、その数値計算の精度保証を考慮したシミュレーションを行った。

研究成果

• [文献書誌] 高橋孝,松永三郎: "再構成型宇宙システムのための多体動力学(第一報:動力学アルゴリズムの概要)"日本航空宇宙学会論文集. No.563 Vol.48. 418-424 (2000)
• [文献書誌] Saburo Matunaga,Keisuke Yoshihara,Takashi Takahashi and Kyoichi Ui: "Ground Experiment System for Dual-Manipulator-Based Capture of Damaged Satellites"Proc.2000 IEEE/RSJ International Conf.on Intelligent Robots and Systems (IROS2000). Vol.3. 1847-1852 (2000)
• [文献書誌] Osamu Mori,Saburo Matunaga and Naohide Maed: "Research and Development of Tethered Satellite Cluster Systems"Proc.2000 IEEE/RSJ International Conf.on Intelligent Robots and Systems (IROS2000). Vol.3. 1834-1840 (2000)
• [文献書誌] 森治,松永三郎: "群型テザード衛星システムの編隊飛行制御"第44回宇宙科学技術連合講演会講演集. 上巻. 722-727 (2000)
• [文献書誌] Saburo Matunaga,Osamu Mori,Shingo Tsurumi and Hideto Okada: "Robot Satellite Cluster System and its Ground Experiment System"51st Congress of the International Astronautical Federation. IAF-00-A.3.06.. (2000)
• [文献書誌] 松永三郎,森治,狼嘉彰: "摩擦・衝撃を伴うテザー多体システムの動力学(第2報:数値シミュレーション)"日本機械学会論文集 C編. Vol.66 No.646. 1731-1739 (2000)