• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

海上交通システムにおける見張りに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11650944
研究機関神戸商船大学

研究代表者

古荘 雅生  神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (80243335)

キーワード見張り / フィールドファクター / 海難 / 航海視環境 / ビジビリティレベル / 輝度差弁別閾 / 太陽高度 / 視認性
研究概要

平成12年度の研究項目は、(A)航海視環境が関係する海難事故を解析し、(B)海上交通システムにおけるフィールドファクターを推定することであった。
得られた主要な結論を次のように要約する。
(A)航海視環境が関係する海難事故を解析した結果、海難審判庁裁決録に示された衝突海難1000件の事例調査をもとに、航海視環境と比較しながら見張りの視認性を論じ、(A-1)太陽方位を基準に他の船舶(物標)との相対方位角を「太陽相対方位」と定義し、太陽高度が40°以下、太陽相対方位が0°(太陽方位に対して±22.5°)の場合、衝突海難割合が突出して多いこと。そして、(A-2)見張りの視認性を妨げる背景条件は、船舶(物標)の背景に太陽がある場合であることを明らかにした。
(B)海上交通システムにおけるフィールドファクターを推定することに関し、実船実験により得られたあらかじめ判っているときのVLと、海難審判の事例から抽出したあらかじめ判っていなかったときのVLとを用いて検討した結果、太陽高度に基づく航海視環境の違いにかかわらず、海上におけるフィールドファクターは約3であろうと推察した。この数値は、自動車前照灯の走行試験で、運転者が障害物の存在を知らないときに使用されるフィールドファクターの4に類似した値となった。
さらに、VLの数値と視認距離の積を比較した結果、太陽高度が0°から10°の間の角度について、VLと視認距離の積の数値が明らかになれば、太陽高度と、その積の数値から、船舶の存在が判っているときでもそうでないときでも視認距離を推算できるようになると考えられ、将来の研究課題である。
さらに、太陽高度が10°以上の場合、積が一定であるから、船舶の存在があらかじめ判っていても6海里を越えるとVLは2.2以下に低下するので、6海里以上ではたとえ船舶の存在があらかじめ判っていても視認が困難になることは明らかとなった。このことから、レーダー、ARPAなどの航海計器あるいは双眼鏡による目視の改善により、船舶の存在をできるだけ早期に発見し探知しながらその動静観察を行い、方位変化の有無による衝突のおそれを確認しておくことが、見張りの視認性を改善するために重要であることを確認した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 古荘雅生: "船舶の視認と見張りに関する-考察"日本航海学会論文集. 第100号. 59-66 (1999)

  • [文献書誌] 古荘雅生: "海上におけるフィールドファクターに関する-考察-衝突海難事例の初認距離による推定-"日本航海学会論文集. 第103号. 175-180 (2000)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi