研究分担者 |
鈴木 敏夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80029107)
宮田 秀明 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70111474)
鞍谷 文保 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (00294265)
岩崎 泰典 川崎重工, 基本設計部, グループ長(研究者)
奥野 武俊 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60081395)
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研究概要 |
粘性境界層による船尾端での水深方向流速分布がトランサム船尾直後の流れに大きく影響するはずであると言う仮説を基に本研究を行った。 1.トランサム船尾直後の流れの構造の解明 トランサム船尾直後の流れを回流水槽にて詳細に計測・観測した。その結果,トランサム船尾直後の水面に逆流があり,逆流した流れは船尾端で前進を阻まれ,その後船尾端に沿って両横側へ流れて,最終的には船側の流れに入って行くことを明らかにした。またこの逆流は波の前方への波崩れにより発生する事を実験により確認」した。 2.トランサム船尾直後の前方への波崩れを取り扱う方法の開発 船尾端での水深方向流速分布を考慮に入れる事ができて急峻な波をも取り扱えるトロコイド波でトランサム船尾直後の流れを近似した。一方で,1.の結果を基にして波崩れ発生のクライテリアを提案した。これらを基に,水面からどの深さまでの流層が前方へ崩れるのかを推定可能にし,かつこの前方への波崩れによる抵抗の推定計算式を導いた。 3.前方への波崩れ現象の特性の解明 2.の方法によりこの現象の特性を検討した。その結果,この現象は仮説通りに船尾端での水深方向流速分布に大きく影響されること,従って尺度影響を持つこと,そしてこの現象による抵抗の無次元値は模型寸法の増大と共に減少する事を明らかにした。一方で,崩れずに後方へ伝播する残存後続波の波高は,逆に,模型寸法の増大と共に増大する事が分かった。 4.今後の研究計画 船尾波のもう一つの成分であり予想外の特性を持つことが分かった残存後続波について先ず研究する。次に,その研究成果と上記の研究成果を基にして,互いに異なった特性を持つ2つの成分すなわち「前方への波崩れ」と「残存後続波」からなる船尾波の尺度影響を研究する。
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