(1)新たに実タンクを想定した実験装置として、小型アルミ製の断熱層を作り、高温槽、低温槽および中間にアルミ板で仕切った低温ベーパーを流す空間を設けた。低温源はCoolant[ヒドロキシ安息香酸]によって-10〜10℃とし、高温源は電熱ヒーター加熱の空気でおよそ50℃とした。両槽とも小型ファンによる内部攪拌で、ほぼ均一温度を維持した。低温ベーパー槽には-78℃ドライアイスからの昇華ガスを底部に導き自然上昇流によって断熱効果を持たせた。 (2)断熱効果の検証は、先ずベーパー断熱無い場合の高温槽から低温槽へ直接にアルミ板を介した侵入熱流が計算によって求まる。ベーパー断熱ある場合は、ベーパー槽へCO_2昇華ガスを数種類の流量で流し、計測したベーパー温度から、低温槽への熱流を計算で求めた。両者の比較によって低温ベーパー層の存在による断熱の効果が明らかになる。実験結果:-70〜-80%の断熱効果が得られることを確認した。 (3)本結果をもとにLNGおよびLH_2の実タンクへの本方式適用を検討した。タンクは30〜40m直径の球形とし、蒸発した超低温ガスを安全上窒素ガスで熱交換し、得られた低温窒素ガスを上下半球の球環部に流す様式である。球座標系で乱流場・圧縮性流体での、流れと熱移動の微分方程式解析および数値計算を実行した。その結果タンク全体でみて-20〜-30%の断熱効果が得られること、LH_2タンクの場合は複数層のベーパー層設置が可能でさらに効果を上げることが可能なことを確認した。以上をもとに実タンクでの熱交換装置も含めた本断熱方式のシステム設計を実施した。
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