研究概要 |
本研究は,地下深部の構造の分解能向上をめざすために,ホログラフィックイメージング法を低周波電磁探査への適用性を検討することを目的に行われた.本年度はまず低周波電磁波のイメージングに適しているといわれているNearfield Holography理論の妥当性について検討した.通常のホログラフィーでは,分解能は波長程度しか期待できず,低周波電磁波では有効ではないが,ニアフィールド・ホログラフィーでは,ほとんど波長に関係なく,その1/1000でも分解能があることが明らかにされている. 高分解能の探査を行うということは探査そのものの精度を上げることを意味する.従って,ホログラフィックイメージングの前提として,実際にフィールドでデータを取得する方法である時間領域電磁探査法の精度を上げる必要がある.そこで,時間領域電磁探査法について,他の電磁法との特徴の比較,3次元構造モデリング法に検討等を行った.マグネトテルリク法等の周波数領域での電磁探査法は,地表付近に低比抵抗帯があると深部の構造に対するレスポンスが非常に悪くなり,可探深度も,通常その予測に使われる電磁波のskin depthに比べてもずっと小さくなる.時間領域の場合は,低比抵抗帯があっても過渡現象の時間が長くなるだけで,この間安定して記録が取れればその影響は少ない.また,現在通常行われている地下構造を2次元(奥行き方向に構造が一定)と仮定する解析を3次元構造に対して行う場合の問題点を検討した.2次元と仮定して解析すると,たとえば,解析断面の側方にある構造(特に低比抵抗構造)が深度方向に投影されてしまい,実際には存在しない構造が地下に現れる可能性があることがわかった.この状況は,ホログラフィックイメージングの場合も同様であり,3次元状の解析をめざす必要がある.
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