申請者らは本研究において、まず種子中のオレイン酸含量がいずれも40〜45%のKK21およびHOLL突然変異系統を交雑し、そのF2集団から約60%の超高オレイン酸含量を示す6個体を選抜し、その後代(F3世代およびF4世代)についてオレイン酸含量を解析した。 この結果、高オレイン酸として選抜した3系統のF3世代におけるオレイン酸含量は、57.9〜67.6%、56.4〜68.4%および47.4〜68.4%と、いずれも両親となるKK21(37.2〜51.2%)あるいはHOLL(44.6〜53.8%)のオレイン酸含量を上回る個体が認められた。更に、これらの系統のうち3〜5個体ずつを20個体からなる系統として扱い、合計11系統のF4世代についてオレイン酸含量を調べたところ、うち1系統において60%以上の非常に高いオレイン酸含量を示す系統が得られた。 また、FAD2-1およびFAD2-2遺伝子について、ノーザンブロット法およびRT-PCR法を用いた発現量の解析を行ったが、系統間で有意な差は認められなかった。そこで、現在Bayと突然変異系統との間でFAD2-1およびFAD2-2遺伝子の塩基配列についての比較を行い、どの様な変異が生じているのかについて塩基置換レベルでの解析を行っている。 今後は、更に選抜を行った後代を用いて、この超高オレイン酸含量(>60%)の固定系統が得られるかどうか遺伝的安定性の検討を進めて行く必要がある。また、塩基レベルでの変異が同定出来しだい多型を検出可能なプライマーを設計し、選抜個体の解析を行う予定である。
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