研究課題/領域番号 |
11660017
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山内 章 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
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研究分担者 |
矢野 勝也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (00283424)
巽 二郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (00163486)
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キーワード | イネ / 可塑性 / 根系 / サツマイモ / 耐旱性 / 根 / 水吸収 / 水ストレス |
研究概要 |
本研究は、作物根系の水ストレスに対する反応を、根系を構成する各根が発揮する可塑性に注目して解析し、根系の発育・機能の、耐旱性における意義を明らかにしようとするものである。 本年度はとくに、異なる土壌水分条件下における、1)根系が発揮する発育における可塑性の評価、2)導管の発達程度と、下皮・内皮構成細胞壁における構成物質の反応、3)サツマイモ根系の発育反応と、塊根部位の水供給機能の評価を中心に研究を進めた。 まず1)に関しては、耐旱性の異なるイネ品種や、イネ科作物を種々の変動水分条件下で生育させ、それにともなう根系構造の動態を精査し、また導管の発達程度などから水の吸収、輸送能力を評価した。その結果、主として側根発育によって発揮される根系構造の発育的可塑性およびそれに伴う機能的可塑性が、種々の土壌水分条件下における作物の生育に決定的に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 つづいて2)では、軽度の土壌乾燥ストレス条件下では、内皮を構成する細胞の壁肥厚が認められ、リグニン/スベリン比の増加といった組成の変化を伴っていることを見いだした。 3)の研究では、土壌水分の変動がサツマイモの根系発達に及ぼす影響について調べ、根系発達は,サンプリング時の直前の土壌水分条件に依存して増加または減少した.一般に土壌乾燥は抑制的に、過湿条件は促進的な効果を示した。またそれに続く適湿条件で生育させるとそれらの効果は減少した。このように変動する土壌条件に対し大きな可塑性を示した。また塊根は、日中、蒸散に伴う導管内の負圧により収縮し、含水量の20%、個体全体の蒸散量の約10%に相当する水が塊根から失われていると推算された。この水が、葉の水ポテンシャル維持に貢献している可能性があることを指摘した。
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