研究概要 |
出穂期が8月下旬から9月上旬である中国、韓国、フィリッピン(国際稲研究所)、日本で育成された日本型、インド型多収性(超)穂重型水稲品種に、長稈インド型、ジャワ型品種、並びに日本稲品種(穂重型、穂数型)を加えた合計24品種を、高知大学農学部圃場で同一条件下で栽培した。そして、多収性(超)穂重型品種の、生育特性、穎花の分化・退化数、養分吸収特性、登熟特性、収量構成要素および収量等について明らかにすることを目的とした(実験1)。また、穂重型多収性品種である揚稲4号(YD4、中国インド型)と水原258号(SW258、韓国日印交雑稲)を供試して、生育中期(出穂期前40,30,20日)の窒素、リン酸の追肥が穎花分化・退化に及ぼす影響について検討した(実験2)。[結果]実験1.供試品種の最終草丈は87.4〜127.5cm、株当たり分げつ数は7.6〜44.1本、LAIは3.7〜8.7、m^2当たり穂数は193〜533本、1穂穎花数は67〜184個であった。穂重型多収性品種の1穂籾数は、100〜140個の範囲に分布し、穂数は200〜400本、m^2当たり穎花数は3.5〜4.0万粒の品種が多かった。m^2当たり穎花数は、ジャワ型品種を除くと穎花数/出穂期地上部乾物重比と高い有意な正の相関関係を示したが、出穂期の地上部乾物重とは有意な相関を示さなかった。現在、退化穎花数、養分吸収量、穂の部位別の登熟経過の調査中であり、調査後に穎花数の分化・退化数や登熟経過と乾物生産、養分吸収量との関係について検討したい。また、本年度は台風による倒伏のため、かなりの品種で登熟歩合が低下し、収量(玄米)については十分に検討できなかった。実験2.出穂40日および30日前に窒素を追肥した区では、YD4、SW258の分化・退化穎花数が顕著に増加した。SW258の出穂40日前窒素無施用+出穂20日前追肥区では退化穎花数が著しく減少した。また、穎花の分化・退化に及ぼす出穂30日または20日前のリン酸追肥効果は認められなかった。
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