研究概要 |
以前の研究から、サクラ品種の形態に基づく調査から3群(山桜群、豆桜群、その他)に分かれ、葉や花の大きさと関連があることが示された。今回は、若い葉から改変CTAB法でDNAを抽出し、RAPD分析を行い、形態との比較研究を行った。サクラ節(富士菊桜、佐野桜、おかめ、船原吉野、染井吉野、衣通姫、手弱女、八重紅枝垂、奈良の八重桜、雛菊桜、十月桜、名島桜、泰山府君、小彼岸桜、兼六園熊谷、大寒桜、敬翁桜、高砂(奈天)、冬桜、寒桜、子福桜、紅玉錦、熊谷)とoutgroupのユスラウメとウワズミザクラを供試した。RAPDに用いたプライマーはオペロン社のA,Bブライマーキッドのうち鮮明なバンド(300bp-1000bp)が増幅できた12種(l0mer)を用いた。PCRはアニリング40℃、伸長反応72℃で45サイクル行った。PCR産物は電気泳動を行い、品種間のバンドの違いから類似値を求め樹形図を作製した。その結果、サクラ品種はoutgroupと大きく分かれた。しかし種間雑種が多いとされる品種同志の類似値は高く、遺伝子間の差は少なかった。しかし樹形図から山桜群シナミ・丁字桜群、江戸彼岸群と豆桜群に分かれた。染井吉野は江戸彼岸群に近かった。泰山府君は山桜とシナミ桜の交雑とされていたが、山桜群に入り、シナミ桜の関与はないと考えられた。 このことば、シナミ桜の特徴である気根が、泰山府君にないことからも裏付けられた。 以上より形態とRAPD職分析の結果はおおむね一致した。
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