研究概要 |
スカシユリの連鎖地図の作成と有用形質の遺伝分析を目指して、今年度はまずDNAマーカーの開発を行った。材料にはスカシユリ品種の'モントレー(ピンク花)'と'コネチカットキング(黄花)'の交雑に由来するF_1系統96個体を利用した。PCR法を利用したDNAマーカーとして、Randomly Amplifield Polymorphic DNA(RAPD),Inter-Simple Sequence Repeat(ISSR),Amplified Fragment Length Polymorphism(AFL))マーカー等を検討した。RAPD分析では、従来よく利用されている10bや12bのランダムプライマーでは12%しか多型を検出しなかったが、15bや20bの比較的長いランダムプライマーを用いたときは50%のプライマーで多型を検出した。ISSRは最も効率が良く、試したプライマーのおよそ6割で多型を検出した。一方AFLP分析は効率が悪く、1つのプライマーの組合わせ当たりで1〜2個の多型しか検出しなかった。これまでにこれらの手法を用いて、およそ100の個のDNAマーカーを開発し、F_1集団96個体の遺伝子型を明らかにした。これと平行して、RFLPマーカーのプロープの開発と遺伝子の単離を目的として、'モントレー'花弁由来のcDNAライブラリーを作成した。得られたライブラリーは、平均インサート長がおよそ1kbで、ランダムに選んだ20個のクローンの3'側のシークエンスを部分的に決定したところ、6クローンが既知の配例とヒットした。またこのライブラリーより花色の発現に関わる遺伝子を現在単離している。今後はマーカーの数を200以上に増やして連鎖地図作成を行いcDNAをこの連鎖地図上に位置付けるとともに、開花した花弁の色素を定量することにより花色の表現型を連鎖地図にマッピングして、cDNAと花色との関連を調査する。
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