研究概要 |
スカシユリ品種の'モントレー'(ピンク花、斑点有り)と'コネチカットキング'(黄花、斑点無し)の交雑に由来するF_1集団96個体を用いて、分子マーカーによる連鎖地図を作成した。その結果'モントレー'では95のマーカーからなる26の連鎖群が、'コネチカットキング'では119のマーカーからなる24の連鎖群が得られ、連鎖群の全長はそれぞれ868、1112cMであった。連鎖地図作成に用いたF_1集団の各形質を調査して、これらの形質を支配する遺伝子座を連鎖地図上にマッピングした。花弁のアントシアニン色素の発色を支配する遺伝子座はモントレーの第1連鎖群に、花弁の斑点発生に関わる遺伝子座は'コネチカットキング'の第1連鎖群と第18連鎖群に、花弁のカロチノイド色素の発色を制御する遺伝子座は'モントレー'の第6連鎖群上に、それぞれマッピングされた。これらの遺伝子座と連鎖するDNAマーカーはスカシユリの育種におけるDNAマーカー選抜に利用可能である。次に、アントシアニンの発色に関わる遺伝子をcDNAライブラリーから単離し、発現解析を行った.3種類のCHS、1種類のDFRおよび1種類のMyb遺伝子はそれぞれの器官に特異的な発現パターンを示し、これらの中でDFR遺伝子が花弁のアントシアニン色素の有る無しと最もよく一致した発現パターンを示すことが分かった。また、これらの遺伝子は花弁に,アントシアニンを持たない'コネチカットキング'でも正常に機能していたことより、品種間差異の原因にはなっていないと考えた。
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