研究概要 |
1.Solanum toxicarium青枯病抵抗性 【材料及び方法】:〔実験I〕S.toxicariumと青枯病に罹病性のトマト'強力米寿'(実験I-1),S.toxicariumを台木,'強力米寿'を穂木とした接ぎ木植物と'強力米寿'(実験I-2)を供試し,青枯病細菌を断根接種した。〔実験II〕S.toxicarium"と'強力米寿'(実験II-1),'強力米寿'を台木,S.toxicariumを穂木とした接ぎ木植物と'強力米寿'(実験II-2)を供試し,茎(又は穂木)へ青枯病細菌を刺針接種した。〔実験III〕S.toxicariumの葉、茎及び根の抽出エキス(H_2O層、CHCl_3層)から得られた各画分の青枯病細菌に対する抗菌性の判定実験を行った。 【結果】:S.toxicariumの根部(根圏)には青枯病細菌を阻止する機構があること,またS.toxicariumの茎の青枯病細菌に対する反応(無病徴感染)はS.toxicariumの根の存在と無関係であること,さらにS.toxicariumの葉・茎・根には青枯病細菌に対する抗菌物質が存在することが明らかになった。 2.養液栽培におけるS.toxicariumを台木とした接ぎ木トマトの生育,果実収量及び吸肥特性 【材料及び方法】:S.toxicariumを台木,トマト'ハウス桃太郎'を穂木とした接ぎ木トマト,対照区として'ハウス桃太郎'の自根を供試した。培養液濃度処理として標準区(施肥II区),0.5倍区(施肥I区)及び1.5倍区(施肥III区)の3区を設けた。 【結果】:果実収量は自根では施肥II区,S.toxicarium台では施肥III区が最も高かった。果実収量が多い区で葉茎の窒素含有量は高くなる傾向を示した。葉茎のリン含有量は施肥I・II区では自根がS.toxicarium台より高かったが,施肥III区では差がなかった。 以上の結果から,S.toxicariumを台木としたトマト栽培では自根トマトに比べ肥培管理を高く維持する必要があることが示唆された。
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