エンドファイトを有効利用する場合に大きな隘路となっているのは、エンドファイトによっては人工接種したときに植物と親和性とならずに非親和性となることである。親和性・非親和性の特異性が発現される部位の一つは、エンドファイト菌糸と植物細胞壁の間の細胞間質で起きることを先に報告した。そこで、post-embedding法による免疫電顕を応用して、この細胞間質がエンドファイト菌糸に由来するものか、それとも植物に由来するものであるかを検討した。一次抗体としては昨年度、走査電子顕微鏡でのエンドファイトの検出に用いた抗体を用いた。エンドファイトが共生しているトールフェスクの組織を樹脂で包埋し、一次抗体を樹脂の超薄切片と反応させ、この一次抗体に金コロイドで標識した二次抗体を反応させた。透過電子顕微鏡で検鏡した結果、エンドファイト菌糸の抗体は菌糸の細胞壁とは反応したが、細胞間質との反応は認められなかった。このことから、細胞間質はエンドファイト菌糸由来ではないことが示唆された。次に、この細胞間質の多糖類の性質を知る目的で、金コロイドと結合させたタチナタマメレクチン、レンズマメ凝集素、ピーナッツ凝集素、インゲンマメ凝集素およびコムギ胚凝集素を、エンドファイト菌糸と反応させ、透過および走査電子顕微鏡で検鏡出したが、現在のところいずれでも金コロイドとの反応は認められなかった。今後、レクチンとの反応条件について、さらに他のレクチンについて検討するとともに、非親和性組合せについても研究する予定である。
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