人工飼料条件を異にする幼虫の把握力を、引っ張り試験機を活用して比較した。 すりおろし生葉を主体にした人工飼料、いわゆるペースト飼料は、幼虫腹脚の把握力を高く保つのに有効であることが示された。具体的には、従来型人工飼料育幼虫の4齢期把握力は約30gf程度であり、屋外のクヌギ立木に放飼するとつかまりきれず落下することが多かったが、ペースト飼料育の幼虫ではその2-3倍の把握力を持つことが確認され、有意な差となった。 ただ、1齢幼虫はペースト飼料に対する摂食性が低く、若令でも食べさせる工夫と同時に従来型飼料との使い分けプログラムを作ることが課題である。 一方、従来型飼料で腹脚把握力が低下する理由として、その飼料表面の水素イオン濃度が低くなりすぎるためであるとの仮説を立てた。これを検証する目的で、平型ガラス電極を活用して飼料のpH値の変化測定を試みた。結果は従来型飼料・ペースト飼料とも飼育箱中に置いた日数が進むにつれて表面pHは低下する傾向にあったが、どんな場合でもむしろペースト状飼料の方が低い値を示す結果となった。 幼虫の歩行行動解析は、4齢程度の大きさの幼虫の観察が可能となった。さらに3齢幼虫に応用すべくなお検討中である。
|