研究概要 |
Herrの三重培地法を改変した方法で、各地土壌からクワ芽枯病菌Fusarium lateritium f.Sp.Moriに対する桔抗菌を検索した。その結果、118の土壌サンプルから、4,825株の拮抗菌を採集し、この中から、F.Lateritium f.Sp.Moriに強い拮抗作用を持つ、39L40C株を選抜した。39L40C株はStreptomyces属で、クワ芽枯病菌以外の植物病原菌に対しても強い拮抗作用を示し、幅広い抗菌スペクトルを持っていることが判明した。つぎに、39L40C株がどのような抗菌活性を持っているか、PS液体培地での培養ろ液について検討した結果、培養24時間では、全く抗菌活性は見られなかった。70rpmで振とう培養した場合には、培養72時間後から強い抗菌活性が認められた。静置培養した場合にも、培養72時間後から、抗菌活性が認められ、170rpmで振とう培養した場合には、培養120時間後から、抗菌活性が認められたが、前2者に比べるとその活性は低かった。ろ液を120℃、15分間、オートクレーブ処理すると、抗菌活性は著しく減少し、熱処理によって活性が失われることも判明した。39L40C株が、桑条上でも拮抗作用を示すか否かを輪切りにした桑条を用いて検討した結果、ペーパーディスクを用いた場合と同様、桑条の場合にも阻止円の形成がみられた。このことより、39L40C株を桑条へ塗布することにより、クワ芽枯病菌の感染を防除する可能があることが示唆された。
|