研究概要 |
植物を用いて土壌からの重金属を除去、すなわちPhytoremediationに用いる植物は、重金属に対して耐性を有すると共に、重金属を蓄積する能力が高くて、しかもBiomassの大きいことが必要である。そこで、重金属耐性遺伝子をBiomassの大きい植物へ導入して、重金属に対して耐性の高い植物の育成を試みている。 重金属と結合し、それを無害化するタンパク質メタロチオネイン(MT)を合成する遺伝子CUP1を酵母から分離して、Binary vector法でヒマワリ(Helianthus annuus)に導入した。 形質転換カルスはKanamycin(Km)耐性で選抜し、PCR法およびSouthern法によって導入遺伝子の存在を確認した。この形質転換カルスをCdを含有するMS液体培地で培養し、Cd処理による細胞の生死を培養細胞によるTTC活性を測定し、Cd処理した細胞のViabilityを検討した。その結果、非形質転換カルスではCdを高濃度に処理するとTTC還元活性は顕著に減少したが、形質転換カルスNo.18やNo.53は明らかにTTC還元活性は減少せず、高い活性が維持されていた。また、Cd処理を行った形質転換および非形質転換カルスからタンパク質を分離精製してゲルろ過法(Superdex75)によってMT生成量を測定した結果、MT生成量とTTC還元活性による細胞Viabilityとの間には高い正の相関があり、TTC還元活性が細胞レベルでのCd耐性評価法として有効であることを明らかにした。一方、多くの形質転換カルスについてRealtime定量PCR装置(ABI,PRIZM7700)を用いてRT-PCRにより導入遺伝子の発現量を求めた結果、Cd存在下の細胞Viabilityとの間には高い正の相関が認められた。本法は微量のRNAで検出可能なことから、細胞レベルでの耐性評価法としての有効性を明らかにした。
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