研究課題/領域番号 |
11660078
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永井 和夫 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (00011974)
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研究分担者 |
禹 済泰 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (20272693)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収 / reveromycin A / destruxin E / apoptosis / actin ring / 抑制剤 |
研究概要 |
マウスの骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系を用いて、これまで破骨細胞の分化を阻害する化合物としてFK506及びreveromycin Aを、破骨細胞の形態変化を起こし骨吸収機能を阻害する化合物としてcompactin及びdestruxinを見い出した。 reveromycin A及びdestruxinの阻害作用機構を調べて以下のような成果が得られた。reveromycin Aは破骨細胞分化の後期のみの処理で全期間処理と同じ阻害活性を示した。詳細に調べた結果、reveromycin Aはすでに形成された成熟破骨細胞へ作用し、生存を阻害することが分かった。reveromycin A処理でアポトーシスの特徴的な形態である破骨細胞の収縮や核の凝縮が起こること、アポトーシスの際に起こるcaspase-3様酵素の活性化やcaspase-3活性化シグナルに関わるcytochrome Cの放出が起こることから、reveromycin Aは成熟破骨細胞をアポトーシスへ誘導することが明かとなった。さらにreveromycin Aは培養破骨細胞や器官培養のレベルでの骨吸収を強く抑制した。また、同じ起源の前駆細胞より分化するマクロファージや骨芽細胞、TやBなどの免疫細胞には作用せず、破骨細胞に選択的に、しかも活性化した破骨細胞にのみ作用することが明かとなった。これらの結果からreveromycin Aは生体レベルでの骨吸収を抑制することが期待される。 一方、destruxin Eは破骨細胞の生存には影響を与えず、骨吸収の際骨表面に接着するために必須であるアクチンリングを破壊することが明かとなった。この化合物は培養破骨細胞や器官培養のレベルで骨吸収を強く抑制した。破骨細胞の形態や骨吸収機能に対するdestruxin Eの作用は可逆的であり、器官培養では非常に低濃度(10pM)で抑制効果を示した。今後その作用機能の解明が必要と思われる。 以上の成果は、これら2つの化合物が、ともに骨吸収抑制剤として応用できる可能性を示すとともに、破骨細胞のアポトーシスや形態維持の機構解明に役に立つツールになることを示唆している。
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