研究課題/領域番号 |
11660078
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永井 和夫 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (00011974)
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研究分担者 |
禹 済泰 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (20272693)
WOO Je-tae Graduate School of Bioscience and Biotechnology Research Associate
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 破骨細胞 / 分化 / 生存 / 骨吸収 / アポトーシス / コンパクチン / デストラキシン / レベロマイシン |
研究概要 |
申請者らは破骨細胞の分化、融合、生存、機能発現機構を解明するためのツールだけではなく臨床応用可能な骨吸収抑制剤を得る目的で、破骨細胞の分化及び前単核破骨細胞の融合と成熟破骨細胞の機能発現過程に作用する活性物質を微生物代謝産物中から探索してきた。これまでにコンパクチン、デストラキシン、レベロマイシンを見出し、その作用機構の解析を行なって来た。その結果、コンパクチンやその誘導体が破骨細胞の初期分化と融合を阻害すると共にアクチンリングの破壊を誘導し骨吸収を抑制することを見出し、低分子G-蛋白質のゲラニルゲラニル化が破骨細胞の分化、融合、骨吸収機能発現のシグナル伝達に関わっていることを示した。また、デストラキシンが破骨細胞の分化や生存に影響を与えずに破骨細胞の極性化過程を阻害すると共に極性化破骨細胞の骨格の破壊を可逆的に誘導し骨吸収機能のみを抑制することを見出した。アクチンリングの形成やc-SrcとV-ATPaseのa3サブユニットの膜周辺への局在は破骨細胞の極性化過程に起こる現象であるが、デストラキシンはこの過程を阻害し、破骨細胞の特有の極性化や細胞骨格維持に関わるシグナルに作用することが明かとなった。レベロマイシンは破骨細胞の分化や融合過程には影響を与えずに活性化された破骨細胞に作用し、チトクロームcの放出やcaspaseの活性化を介してアポトーシスを誘導することを見い出した。さらに活性化された破骨細胞に対するレベロマイシンの特異的作用は活性化された破骨細胞がつくる細胞直下の酸性環境におけるレベロマイシンの膜透過性の上昇に起因することが示された。デストラキシンとレベロマイシンは副作用の少ない骨吸収抑制剤としての開発だけではなく、特異性のさらなる解明によって骨吸収抑制剤の開発に重要なヒントを提供するとも思われる。
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