ニトリルは低沸点で揮発性であることから、これまでのニトリル分解菌の分離は、30℃以下の温度域で集積培養することが一般であり、得られるニトリルヒドラターゼ生成菌はもっぱらRhodococcus属あるいはPseudomonas属細菌であった。そこで、我々は比較的高沸点のニトリル化合物を用いてこれまで試みなかった37、40、45℃の中高温度域で、また培地のpHを酸性側、アルカリ側に調節するなどの条件下で集積培養を行った。高温域で得られるニトリル分解菌は胞子を形成する放線菌が多かった。これらの菌学的諸性質を検討したところ、これまでにニトリルヒドラターゼ生成菌として報告されていないAmycolatopsis属菌株であることが明らかとなった。 1.Amycolatopsis属菌のニトリルヒドラターゼの精製単離と耐熱性、光学特異性等の特性解析、工業用触媒としての潜在能力を評価した。 2.Amycolatopsis属菌の生成するニトリルヒドラターゼの生産条件を検討し、高活性菌の調整に成功した。 3.高温度域での集積培養による耐熱性ニトリルヒドラターゼ生成菌の分離、耐熱性等の特性解析、工業用触媒としての潜在能力を評価した。 その他、種々の条件下での多種多彩な特性をもったニトリルヒドラターゼ生成菌の収集、工業用触媒としての潜在能力の評価、培養条件の最適化、高活性菌株の造成育種、これらをライブラリーとして多彩なニーズに応える準備をした。
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