研究概要 |
1 植物Na^+K^+トランスポーター遺伝子(AtHKT1)をクローン化して解析したところ、酵母、アフリカツメガエル卵母細胞ではNa^+取り込み、大腸菌ではK^+を輸送することが分かった。 2 AtHKT1のトポロジーをPhoAを用いた大腸菌発現系、抗体認識法による動物細胞の発現系および小胞体膜を用いた糖鎖修飾法によってAtHKT1は8回膜貫通構造を有すること証明した。我々の構造モデルにより既に報告されている10回膜貫通構造モデルを修正することになった。 3 AtHKT1には一カ所N型糖鎖修飾が予想される残基が存在する。イオン透過孔に面する箇所の糖鎖修飾の有無がK^+Na^+のイオン選択性に影響を与えている可能性を検討した。糖鎖非修飾に残基置換したAtHKT1変異蛋白質を作成して卵母細胞でイオン電流を膜電位固定法で調べたところ糖鎖修飾はイオン透過性には関与しないことがわかった。 4 KAT1のイオン孔に存在するThr256をGlu(T256E),Gln(T256Q)に置換した変異体のNa^+阻害様式を卵母細胞発現系を用いた膜電位固定法によって検討したところ、-180mV以上の深い電位ではNa^+が貫通することが明らかとなった。 5 孔辺細胞由来の粗酵素抽出液とKAT1のC末領域とのリン酸化反応が起こることを確認した。 6 植物AtKUP1の輸送体トポロジーをPhoA融合法で大腸菌発現系を用いて決定した。10ヶ所以上存在する疎水領域のうち7ヶ所は膜貫通構造を形成することが明らかとなった。
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