細胞膜、液胞膜水チャネルを対象とし、複数分子種の発現特性、生体膜の水透過率との関連、水チャネルの局在化機構を解析し、耐乾燥性植物への水チャネル遺伝子導入を試みた。 (1)ダイコンの細胞膜(6種)と液胞膜(2種)の水チャネルについて各器官を成長段階別に分析し、多くが協調的に発現してる反面、一部の分子種が特定器官で合成されないことが明らかにした。 (2)生体膜の水透過率をストップトフロー装置により測定した。水透過率の大きさは細胞膜より液胞膜が高く、耐乾燥性植物の膜の水透過率が低いことが明らかになった。またCAM植物液胞膜は水チャネルをほとんどもたない(ダイコンの100分の以下)ことも解明した。 (3)細胞膜、液胞膜2つのタイプの水チャネルを、GFPとの融合タンパク質としてタバコ培養細胞で発現する系を確立した。水チャネルのN端、C端いずれにGFPを結合しても、融合タンパク質がそれぞれ細胞膜と液胞膜に正しく局在化することを確認した。 (4)水チャネルが個体と器官にどのような影響をもつかを検討する目的で、水チャネルをほとんど持たないCAM植物に水チャネル(PAQ1、γ-VM23)の遺伝子を導入した。再生植物体が成育中である。発現量を検定し、植物組織の生理学的な影響を解析しつつある。
|