1.Pho85キナーゼのG1期における役割の解明 cln1cln2pho85^<ts>株の制限温度下での生育停止を抑圧する遺伝子の単離を行っているが、まだ単離に成功していない。12年度も引き続きcln1cln2pho85三重変異株の生育停止にかかわる遺伝子の単離・同定を試みる。 2.Pho85キナーゼのM期終了における役割の解明 Pho85キナーゼとClb2の安定性の関係を調べたところ、野生型とpho85欠失株の間で大きな差は見られなかった。マウスCdk5キナーゼがpho85欠失変異形質の内、細胞の異常形態、Pho4過剰発現による細胞の生育停止などを抑圧できることを見いだした。これらの抑圧には特定のサイクリンが必要であること、Cdk5キナーゼはPho4をリン酸化できることから、Cdk5キナーゼはPho85キナーゼの機能的相同体であると結論した。Cdk5キナーゼはPho85キナーゼのM期終了における役割を特異的に代替できる可能性が考えられる。 3.Pho4の標的の探索 ジーンチップを用いた解析の結果、糖新生系やグリコーゲン代謝系酵素遺伝子の発現が、pho85欠失変異で特異的に変動することがわかった。この中で必須遺伝子であるUGP1の発現制御に着目し詳しく解析した。ノーザン解析やレポーターを用いたプロモーター活性測定により、UGP1発現はpho85欠失変異により増大すること、プロモーター領域にあるPho4結合部位を欠失させるとこの増大が見られなくなることから、Pho4はUGP1の発現量を調節していると考えられる。
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