研究概要 |
発光クラゲの発光基質セレンテラジンは、アポ蛋白質に取り込まれ、高効率の酸化発光を発現するが、タンパク質がない水溶液中においてはその1/1000以下の発光効率でしか発光を示さない。これらの発光基質を用いた微量分析法は水溶液中で行われることが多く、その発光強度の低下は発光分析の利用を制限しており、高感度に発光する発光プローブが望まれている。本研究では、イミダゾピラジノン骨格を有する2-メチル-6-フェニル-イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オンを基本発光基質分子とする発光プローブの効率的な光への変換を行なうため、発光過程におけるエネルギーの励起及び緩和における分子環境の制御を検討した。 分子環境を制御するにあたりその制御機能を効率的に担う制御機能分子の構築が必要であり、環状構造が固定されているシクロデキストリンを制御機能分子に用い、その構造変換を行なった。シクロデキストリンの空洞口の広い2級水酸基側の特定の2点を選択的に化学変換する方法を開発に成功し、これを用いたシクロデキストリンダイマー-結合型2-メチル-6-フェニル-イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン発光基質の合成に成功した。本化合物は二枚貝の形状をしその中に、発光基質が閉じ込められる構造をしており発光基質は外部環境から遮蔽されている。本化合物の水溶液中での発光活性は、シクロデキストリンが結合していないものよりも著しく上昇することが確認された。
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