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2000 年度 実績報告書

植物におけるβ-1,3-グルコオリゴサッカライドエリシターの受容機構

研究課題

研究課題/領域番号 11660107
研究機関京都大学

研究代表者

宮川 恒  京都大学, 農学研究科, 助教授 (10219735)

キーワード二次代謝 / ジャガイモ / エリシター / p-coumaroyloctopamine / ラミナリン / ザイモサン / カードラン
研究概要

昨年度にひきつづき,ラミナリン(藻類由来のオリゴサッカライド)とカードラン(土壌細菌由来の直鎖β-1,3-グルカン)を用いて,β-1,3-グルコオリゴサッカライドの重合度およびβ-1,6-分岐の頻度とエリシター活性との関係を調べた。ラミナリンおよびカードラン加水分解物を完全メチル化し、これをエレクトロンスプレーイオン化法を用いた質量分析に供したところ、ラミナリンの重合度は15-30、カードラン加水分解物は重合度10-20であった。またメチル化後の加水分解により構成糖の組成を調べた結果、ラミナリンにはβ-1,6-分岐が10.5%の割合で存在するのに対し、カードラン加水分解物では1.6%と少ないことが示された。ついで、これらの活性をジャガイモに対するクマロイルオクトパミン誘導能を指標として検討したところ、高濃度処理(10mg/ml)では有意差は見られなかったが、低濃度処理では(1.0mg/mL)ラミナリンがカードラン加水分解物に比べて3倍程度強い活性を示したことから、β-1,6-分岐が活性の発現に有利であることが示唆された。
さらに種々のβ-1,3-グルコ糖を用いて,その重合度とエリシター活性との関連の検討を試みた。エリシター活性を、クマロイルオクトパミンの誘導能を指標として検討したところ,重合度7の直鎖β-1,3-グルコオリゴサッカライドであるラミナリヘプタオースにラミナリンの約1/20の弱い活性がみられたことから、やはりβ-1,3-結合が活性に重要であることが示された。一方、100を越える重合度をもつカードラン、パラミロン、リケナンには全く活性が見られず、高重合度は活性の発現に不利であることがわかった。また、エンドウやイネなどでエリシター活性を示すキトサンペンタマーも無活性であり、これらの植物とジャガイモでは異なるエリシター認識機構があると考えられた。一方、酵母細胞の不溶性画分であり,動物免疫機能活性化作用をもつザイモサンにラミナリンの約1/3のエリシター活性があることを見出した。哺乳動物の免疫機能を活性化するザイモサンが、植物の病害抵抗反応を引き起こすことは大変興味深い。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Matsuda,F 他: "Absolute Structure of N-p-coumaroyloctopamine in elicitor-treated potato tuber tissue"Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 64巻3号. 625-627 (2000)

  • [文献書誌] Matsuda,F 他: "β-Glucooligosaccharide Induced Activation of Four Enzymes Responsible for N-p-coumaroyloctopamine Biosynthesis in Potato (Solanum tuberosum cv.) Tuber Tissue"Zeitschrift fur Naturforschung. 55c巻. 373-382 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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