大腸菌bo型ユビキノール酸化酵素のユビキノール酸化部位の構造特性を解明するために、ユビキノール酸化部位に特異的に作用する最強の阻害剤オーラシン類の構造活性相関研究を行った。天然オーラシン類はその母格構造の違いによって、オーラシンCタイプとオーラシンDタイプに分けられるが、本研究では両化合物の合成に同時に応用できる汎用性のある合成方法を確立した。bo型ユビキノール酸化酵素の活性測定は、単離・精製した野生型酵素を用い、電子供与体としてユビキノール-1を用いた。 両系統化合物ともに、キノロン環の2位に位置する側鎖アルキル基の疎水性が大きいほど活性発現に有利であることが判明した。しかし、オーラシンC類のキノロン環の3位の置換基としてはメチル基が最適であること、また、オーラシンC類の3位の置換基は疎水性の高いアルキル基でも活性が維持されることが明らかになった。構造最適化の結果、2位にデシル基、3位にメチル基を有する化合物が最強の阻害剤として開発された。上記の化合物セットについて、これまでに取得したサブユニット-IIに変異を持つ変異酵素群(5種)を用いて活性評価をした。変異酵素群におけるオーラシン類の構造活性相関プロフィルは、上記野生型酵素でのプロフィルとほぼ同様であった。このことから、変異によるユビキノール酸化部位の構造変化はさほど大きなものではないことが強く示唆された。この結果は先のユビキノール類の構造活性相関研究の結果とほぼ一致するものであった。
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