研究概要 |
Bipolaris sorokinianaの1菌株,OB-25-1株の生産する植物毒sorokinianinはセスキテルペン,prehelminthosporol(preH)にC3単位が付加した構造をもつ.安定同位体標識した酢酸やコハク酸の投与実験,preHとC3単位の候補化合物との置換培養実験などが行われ,preHがセスキテルペン部分の前駆体で,C3単位がTCA回路の酸由来であることが証明された.TCA回路の酸の中では,コハク酸,フマル酸,リンゴ酸,オギザロ酢酸がC3単位の直接の前駆体と考えられ,そのいずれであるかを決定するために^<18>O標識リンゴ酸が調製され,投与実験が行われた.得られたsorokinianinをGCSIMで分析した結果,sorokinianinのC3単位部分には^<18>Oが取り込まれないことがわかった.このことは,コハク酸,フマル酸のいずれかがC3単位の直接の前駆体であることを示していた.次にpreHとコハク酸あるいはフマル酸との最初の付加生成物を特定することにした.このために,平成11年度は標識preHの調製を試み,1.7mgの^<14>C標識preH(比放射活性35KBq/mg)を得ることができた.平成12年度は,この^<14>C標識preHと^3H標識コハク酸をOB-25-1株に投与し,両方の放射能をもつ代謝産物を検索した.その結果,菌体抽出物中に両放射能を有する画分を見出すことができた.次に,放射能標識していないpreHとコハク酸を投与した菌体抽出物よりHPLC上,同様の挙動を示す画分を得,メチル化とアセチル化した後,GCMSで分析した.この画分の主要成分はEIMSではm/z278に,CIMSではm/z279に最高質量イオンピークを示した。
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